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無差別殺傷から1か月、消えない傷跡「なぜ息子が殺された」17人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件は7日、発生から1か月になる。 安心して楽しめるはずの歩行者天国で、なぜ家族が命を奪われなければならなかったのか。被害者の遺族たちは、抑えきれない怒りとやりきれない思いに苦しんできた。重傷を負った被害者も、突然襲った恐怖から抜け出せず、事件の傷跡は消えない。 買い物の最中に刺殺された元会社員宮本直樹さん(31)(埼玉県蕨市)。父親 警視庁の捜査員から、死亡した7人のうち、宮本さんは一番最後に襲われたこと、交差点付近で刺されて数十メートル逃げた路上で力尽きたことなどの説明を受けた。 「残念だっただろう」 惇彦さんは、宮本さんが倒れた場所で手を合わせると、心の中で語りかけた。 マニアの間では1枚数万円で取引されるゲーム用カードを数多く所有し、仲間から「世界の宮本」と呼ばれていた宮本さんは、惇彦さんにゲーム関連の会社を興す夢を語っていた。 2年前に一人暮らしを始めたが、週末には川口市の実家に顔を出した。都美子さんは宮本さんの衣類を洗濯し、部屋の掃除にも出かけた。惇彦さんは「おう、帰ってきたか」と声をかけるだけだったが、「何かしてあげることがあったはずだ」と、この1か月間、悔いばかりが募る。 現場は、思ったより大きな交差点。息子が巻き添えになったのは本当に偶然だと感じた。少しタイミングがずれていれば犠牲にならなかったかもしれない。だからこそ、「誰でもよかった」という加藤智大容疑者(25)の身勝手な供述に「なぜ息子が殺されなければならないんだ」と怒りがこみ上げ、やるせない気持ちにさいなまれる。 ◇ 負傷者を助けようとして刺され、重傷を負ったタクシー運転手の湯浅洋さん(54)(江東区)は先月30日、親族が近くにいる鹿児島県の病院に転院した。 「ズドン」。背中の右側を衝撃が襲ったのは、秋葉原の現場でトラックにはねられて倒れた男性に駆け寄り、しゃがみ込んだ瞬間だった。数秒後、右脇腹に激痛が走った。傷は肺や肝臓まで達し、4日間、生死をさまよった。 痛みで眠れない夜も続く。それ以上につらいのは、事件の恐怖から抜け出せないことだ。病院の待合室に座る患者を見ても、「ナイフを隠し持っているかもしれない」と不安に駆られる。「あのような形でしか自分を表現できない加藤容疑者は、哀れで卑劣だと思う」と、湯浅さんは怒りを口にした。 ◆献花1か月で8000本◆ 現場となった千代田区外神田1の交差点ではこの日も、献花台の前で手を合わせる人たちの姿が見かけられた。 所用を終えて立ち寄った大阪市内の男性(28)は「安らかに眠ってほしいという一心で手を合わせました」と話した。区によると、1か月間で約8000本の花束と約1万本の飲み物が供えられたという。 (2008年7月7日14時38分 読売新聞)
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