あんかけスパの元祖「ヨコイ」のミラネーズ(右)と発祥の店「そ〜れ」のミラネーゼ
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名古屋めしの代表格あんかけスパゲティ。三河出身の記者は名古屋勤務で初めて食べ、とりこになった。濃厚ソースに秘められた歴史を探るべく、ルーツを「特走」のテーマに選んでみたのだが…。
「ヨコイでしょ」元祖を問うと、多くの名古屋市民がその名をあげた。ヨコイ(中区栄3)の2代目、横井信夫さん(46)も「元祖は父に間違いありません」。もう、特走終了? 不安がよぎったが次の言葉で特走が続くことに。「父が『そ〜れ』を共同経営していたころ、生み出したソースなんです」
そ〜れ(中区栄4)は、あんかけスパの老舗だ。「あんかけはヨコイだわ」「何言っとるの。そ〜れだて」と客が言い争うほど、両店には根強いファンがいる。
ヨコイ初代の山岡博さん(76)は親せきと共同経営で1961年、そ〜れを開業。63年、独立してヨコイを開いた。両店には密接なつながりがあったのだ。だが、病床にある山岡さんにはインタビューできなかった。ならば足と舌で、その歴史を追おう。
そ〜れ店長の金岡晃弘さん(37)は「店としての発祥はうち」と胸を張る。ただ、経営者が次々と代わり、開業当初の話は分からないとか。金岡さんも「本当のルーツは、もっと古いのかもしれません」と首をひねる。
紹介されたのは天気番組でおなじみの森田正光さん(58)の記事。森田さんが高校時代にバイトしていた御園座近くの「長栄軒」で料理長から「ミートソースを改良してできた」と聞いたという。東京の森田さんに電話すると「店は30年以上前になくなったと思いますが…」。「長栄軒」説も浮上した。
聞き込みをすると、給食パンで有名な長栄軒の店だったらしい。さっそく豊山町の本社に突撃。「うちはパン屋ですが…」。戸惑う窓口の社員たち。
謎を解いてくれたのは子ども時代をその店で過ごした専務の伊藤潔さん(61)。「料理長がヨコイで学んだんです」。伝えると森田さんも「そうでしたか」と納得してくれた。
巡り巡ってヨコイに戻ってきた。山岡さんはホテルから独立してそ〜れを立ち上げる際、ソースを開発。選んだ2・2ミリの太めんは業者に「一番売れない太さですよ」と心配されたというが、めんにからみやすくコクと辛みのあるソースは、ビジネスマンの心をつかんだ。
と、今度は横井さんから意外な発言が。「『ヨコイのオリジナルミートソース』なのですが、いつからか『あんかけ』と呼ばれて。甘酸っぱい中華風あんかけを連想させるので、父には抵抗があったみたいです」
この名付け親を自任するのは「からめ亭」(名東区高社1)の初代、志智均さん(53)。あんかけうどんをヒントに80年ごろ、「あんかけソース」と命名したという。「名古屋以外で定着しないのは名前に問題があったのかも」と苦笑いも。
「ぴあ中部版」で地元グルメについて連載している大竹敏之さん(43)がフォローしてくれた。「でも、インパクトは抜群だよね」
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